Asaoka S, Masaki H, Ogawa K, Murphy TI, Fukuda K, Yamazaki K (2010) Performance monitoring during sleep inertia after a 1-h daytime nap. J Sleep Res, in press.

自らのエラーに対するモニタリングを反映する事象関連電位 ERN/Ne(Error-Related Negativity/error-Negativity)とPe (error-Positivity) を用いて,日中の1時間の仮眠後に生じる睡眠慣性が,エラーモニタリング機能に与える影響を検討しました.その結果,睡眠慣性中には,エラーへの注意配分量が低下しており,自らのパフォーマンスを過大評価する可能性が示唆されました.
Ogawa K., Abe, T., Nittono H., Yamazaki K., & Hori T. (2010) Pasic brain activity related to rapid eye movements during REM sleep: Study of ERP and sLORETA, J Sleep Res, (in press)

レム睡眠中の急速眼球運動の開始時点に関連して中心頭頂部に出現するP200rの脳内発生源を検討しました。その結果、P200rの発生源は、運動前野、一次運動/感覚野、そして高次視覚野を含む頭頂連合野に同定されました。これらの脳活動は、先行研究により示された脳活動(急速眼球運動前のPRN,急速眼球運動後のラムダ様反応)と共に、レム睡眠中の脳活動を検討する重要な手掛かりとなると考えられます。
Ogawa K., Abe, T., Nittono H., Yamazaki K., & Hori T. (2009) Temporal coupling of rapid eye movements and cerebral activities during REM sleep, Clin Neurophysiol, 120,18-23.

レム睡眠中の急速眼球運動の開始時点に関連して生じる脳電位変化を検討したところ、中心頭頂部優勢に陽性電位(P200r)を観察しました。この電位は覚醒中の急速眼球運動(サッケード)後には出現しません。このことから、P200rはレム睡眠中の急速眼球運動の役割やレム睡眠中の脳活動を検討する指標のひとつになるのではないかと考えます。
Tamaki M, Matsuoka T, Nittono H, & Hori T. (2009). Activation of fast sleep spindles at the premotor cortex and parietal areas contributes to motor learning: A study using sLORETA. Clinical Neurophysiology, 120, 878-886.

2種類の睡眠紡錘波(slow spindle, fast spindle)の活動性を比較し視覚運動学習との関連を検討した。fast spindleの活動は視覚運動学習後に高まっており,左運動前野と左頭頂連合野にその発生源が推定された。一方でslow spindleについては学習に伴う活動性はみられなかった。視覚運動学習に関連した脳の可塑性にfast spindleが関与している可能性がある。