古谷真樹,田中秀樹,上里一郎 (2008).個人内における不安の程度と睡眠構造・睡眠感.臨床神経生理学,36,247-252.
就床前の不安の程度と睡眠内容との関連について、日中の活動量を交えて検討した。個人内で就床前の不安が高い日と低い日の睡眠変数を比較した結果、不安が高い日は、徐波睡眠出現率とREM睡眠出現率の有意な現象がみられた。入眠潜時の延長と段階1出現率と睡眠効率の低下傾向もみられた。また、不安が高い日の主観的評価についても、寝つきの悪さや睡眠維持の低下、起床時の気分の悪さが確認された。一方、日中の活動量には、両日に差が見られなかった。以上、就床前の不安は、寝つきを遅らせ、徐波睡眠を減少させることが明らかとなった。
古谷真樹,山尾碧,田中秀樹 (2008).幼児の夜ふかしと主養育者に対する睡眠教育の重要性.小児保健研究,67,504-512.
幼児の就床時刻の後退と関連する要因を吟味し,睡眠・生活習慣を整えるための方策について検討することを目的とした。さらに,主養育者には生活習慣改善目標を選択してもらい,3ヵ月後にその維持効果について,事例検討した。本研究の結果,幼児の睡眠・生活習慣を改善するためには,(1)主養育者に幼児の就床時刻の後退は寝不足や行動問題の増加にも関連することを認識してもらうこと,(2)幼児のテレビ視聴終了時刻を早めること,(3)主養育者の朝の行動や夕食の時刻を見直すこと,(4)良好な睡眠を得るための知識教育を行うことが重要であると指摘された。
Abe, T., Ogawa, K., Nittono, H., & Hori, T. (2008). Neural generators of
brain potentials before rapid eye movements during human REM sleep: A study
using sLORETA. Clinical Neurophysiology, 119,2044-53.
レム睡眠中の急速眼球運動前に、情動に関与する脳部位が活動しているという結果です。ヒトの頭皮上脳波から、電源解析して求めました。動物研究では、扁桃体を刺激すると、PGO波や急速眼球運動が増えるという研究(Calvo et al.)がありますので、そのような現象がヒトでも生じているのではないかと考察しています。
Abe, T., Matsuoka, T., Ogawa, K., Nittono, H., & Hori, T. (2008). Gamma band
EEG activity is enhanced after the occurrence of rapid eye movement during
human REM sleep. Sleep and Biological Rhythms, 6, 26-33.
急速眼球運動後には、急速眼球運動前と比較して、ガンマ帯域脳波のパワが増大するという結果です。急速眼球運動後には神経活動が活性化しているのだろうと思います。機構については論文で考察しています。
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